mirage -5-





えっと・・・待って、この前聞いたときはこっちの私赤点連発だって聞いたんだけど・・・

「夜見子良い点数取ったテストの日はすごく優等生だったもんね・・・ って、あ、ごめん・・・っ 気に障った・・・?」
・・・良い点数取ったテストの日・・・・・・・?

テストの成績表を見返してみた。
・・・私がテストを受けた教科だけ他と比べて飛びぬけて高い。
胸ポケットにしまってあった私のものと比べてみると、完璧に対称となるようなものだった。


                ・・・・・・・・・・・・・・・・・対称・・・・・・・・・・?


ふと、ある考えが浮かんだ。
少しそれを、試したくなった。





2ヵ月後、期末テスト期間中。


私は今、鏡の中の世界にいる。


「夜見子・・・今日のテスト難しそうだね・・・大丈夫かなぁ・・・」
「あ・・・うん・・・」
返事は曖昧。

この考えが合っているかどうかは分からない。
この試みが成功するかも分からない。
だが、失敗したらこの前よりより悪い結果になる・・・  これだけは、確実に分かる。

そして、テスト直前。
目の前の机の上には、既に裏に向けられた解答用紙が置かれている。
     呼吸を整える。
(大丈夫・・・  きっと、大丈夫・・・)

「それでは、テスト開始!」

一斉に用紙がめくられ、鉛筆を滑らせる音がする。
私はというと・・・

名前を書いてから、微動だにしていない。

カツカツと周りで鉛筆の音がしても、手を膝の上に置きじっと時が過ぎるのを待っている。
問題が分からない訳ではない。完璧にわざとやっている。

             キーンコーンカーンコーン

・・・終わった。いや、終わってしまったと言うべきだろうか。

解答用紙を集めてる途中私の解答が目に入り、明美は目を丸くした。
「よ、夜見子どうしたの!? 問題全部分からなかったの!?」
「ん・・・まぁ・・・」

なんにしろ、結果が出れば分かることだ。
その結果が出るのは、1週間後・・・






そして、1週間後。

廊下の張り紙、その一番左上に私の名前があった。


「うっそ夜見子1番!!?この前あんなに悲惨だったのに!!?」
「あはははははは・・・・・・・」


・・・私の考えは的中したようだ。


この世界、あるいは向こうの世界で起こった事は、正反対の出来事として反対の世界に反映する。
例えば向こうのテストが0点だった場合、こちらでは100点になっている・・・という具合に。

・・・これを利用すれば・・・成績だって思いのまま・・・
そして、それが出来るのは・・・それを知っているのは、私しかいない。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」


・・・・・・・お母さん・・・成績アップしたらお小遣いもアップするって言ってたよね・・・・・


この時から、秀才生徒会長が誕生した。


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